研究概要 |
本年度の課題1「顧客関係性に基づく会計情報についての研究」では,顧客関係性に基づいて収益とコストを区分する損益計算フレームワークの構築を行いました。 収益を顧客関係性に基づいて固定収益,変動収益,準固定収益に区分した場合,どのようにコストを対応させるかに着目しました。顧客関係性の程度によって,コスト態様およびコストの作用因が異なることに着目し,収益(顧客関係性)との対応関係を考察しました。この考察を行う過程で,各顧客セグメントに対応できる個別コストと,対応しない共通コスト,顧客セグメント間の移行に使われるコスト,というコスト区分が存在することを確認しました。そして,これらのコスト区分によって,顧客関係性の評価に役立つ損益計算フレームワークを構築しました。この損益計算フォームによって,収益性,成長性,安定性の観点から顧客関係性の程度が財務に及ぼす影響を見ることを可能にしました。なお,この成果については,研究発表3回および論文にて明らかにしています。 次に課題2「顧客関係性に基づく会計情報を利用した戦略的収益管理の研究」では,理論構築のための資料の収集を行いました。戦略的収益管理を行うためには,収益を測定する方法およびコントロールする方法が必要となります。その論拠を,ロイヤルティ・マーケティング(フリークエンシー・プログラム)に求めました。フリークエンシー・プログラムの一つである携帯電話および電子決済などの急速な普及は,顧客情報のデータベース化に役立つ手法であると考えられます。これまで,フリークエンシー・プログラムは販売促進の機能のみが注目されていましたが,手法の変化によって,戦略的収益管理にも大きな役割を果たすと考えられます。そこで,現在,どのような方法が普及しどのような効果を持つのかを調査しています。なお,この調査成果は,論文(資料)にて明らかにしています。
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