1.本研究では、建設業の日雇労働などに従事する不安定就業層のなかでも、とくに若年層の就労実態を明らかにすることを目的としている。本年度は本研究プロジェクトの初年度にあたり、近年行ってきた野宿者や建設業に関する聞き取り調査の再分析、若年労働に関する新たな文献・資料収集とその読み込み、関係者からの情報収集、ならびに研究の論点の整理を中心に行った。具体的には以下のとおりである。 2.過去に行った、東京の25人の野宿者に対する聞き取り調査、および建設業事業主への聞き取り調査のデータについて、再分析を行った。建設業における若年層を中心とする派遣・請負の実態、若年野宿層の就業経験のなかでの建設業の位置づけ、などの観点に注目しつつ、データの整理と論点の検討を行った。 3.建設業に関するマクロ統計について、とくに年齢層ごとの特徴に注目して表やグラフを作成し、中高年層と比較した場合の若年層の建設労働の動向について、概要の把握を行った。 4.若年労働層や不安定就労、下層労働市場に関して、広く書籍や論文・資料の収集と、その読み込みを行った。また、海外の国々での若年労働の研究動向について、情報収集に努めた。 5.不安定就労者や野宿者を支援する組織の活動に不定期に参加し、若年層の動向について、情報収集に努めた。また、過去に聞き取りを行った建設業事業主に対して再度の調査を行い、若年建設労働者の動向について、データを収集した。
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