研究概要 |
テーマ「社会的企業による持続可能なまちづくりの国際比較」の2年目である今年は,持続可能なまちづくりを可能にする社会的企業(社会的協同組合:social cooperative)諸要因の内実に迫るために,イタリアのベローナ,パドヴァ,マントバにおいて調査を行った。 (1)社会的協同組合の活動が,どのような人的なネットワークを基盤に成立しているのか (2)社会的協同組合の組織的運営がどのように行われているのか, (3)各団体間のネットワーキングがどのように形成され,それがどのような効果をもたらしているのか, (4)社会的協同組合の活動に対する地方自治体の支援策はどのようなものなのか。 これらの点を明らかにするために,各都市で2団体づつの社会的協同組合の現場をまわり,情報収集,及び資料収集を行った。とりわけ中間支援団体であるソルコベローナでは,小規模な社会的企業に対する設立支援から活動支援に至るまで行い,ネットワーキングに大きな役割を果たしていることが明らかになった。イタリアでは進展する地方分権のもとで,州に権限が移譲され,その受け皿として社会的協同組合が大きな役割を果たしていること,その組織運営に多くの専門家がかかわっていた。また宗教的,政治的,地域的背景によって組織間のネットワーク形成の仕方が異なり,協同組合の歴史が蓄積されているイタリア独自の文化に基づいていることを明らかにした。
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