本年度は、平成18年度、19年度に行った調査結果をもとに、調査の際に焦点を当てた作品の、各国地域における評論や日本研究における作品の評価も考慮しつつ、作品の各国・地域における文化・社会的位置づけを明らかにし、日本における「戦争体験」をめぐる物語の国際的な位相を、ポピュラー文化の側面から探ることを目的とした。これを通じて、各国・地域において、戦後日本という時空間がどのように構成されようとしているのかを検討した。 上記目的のもと、追加調査及び補足資料の収集を行うとともに、研究の今後の展開のために台湾の事例を集めるためのパイロット調査もおこなった。 これらの調査結果から得られた成果は、その一部が、日韓共同歴史委員会第三分科会及び現代韓国朝鮮学会定例会での発表や、2008年10月に発行された伊藤公雄編『マンガの中の<他者>』収録の論文に生かされている。また、仁川文化財団発行の雑誌『プラットフォーム』での韓国語論文掲載及びモナシュ大学出版部から発行される書籍の一部として英文成果物の刊行が予定されている。
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