平成19年度はまず、平成18年度末の研究を論文「戦前期の観光における沖縄イメージの形成」にまとめた(http://hermes-ir.lib.hit-u. ac.jp/rs/bitstream/10086/14012/1/shakaikg0000300010. pdf)。戦前期〜現在の沖縄の観光とイメージ形成を時系列的にとらえる作業の基礎となった。 5月から夏の調査の準備を進め、情報・資料の収集・整理を行った。予備的な現地調査も実施し、6月下旬には石垣島の「島の未来シンポ」に参加し、知見を深めた。本課題は一橋大学の学部ゼミのテーマにもして、学生たちと協同作業を進めた。8月には調査地や対象者の選定、アポ取り、質問項目の練り上げ、スケジュールなどの本格的なプランを練り上げ、9月上旬に1週間、石垣島・竹富島・西表島でフィールドワークを行った。終了後、テープ起こしを進めた。これらにより本課題2年目の核となるデータが得られ、研究が大いに前進した。 また9〜12月、世田谷市民大学で「沖縄イメージを旅する」を全12回講義し、本課題の内容も盛り込んだため、授業準備が本研究に直結した。 11月には沖縄の地元紙・琉球新報で「戦前の沖縄観光」を全5回連載した。本研究が普及する機会を得られ、広く認識・理解されてきた。 年明け〜年度末、調査報告書の作成を進め、4月14日、平成19年度一橋大学社会学部多田治ゼミナール 沖縄・八重山調査報告書『沖縄・八重山諸島のいま〜移住・観光ブームによって、島に何が起こっているのか〜』を完成させ、私は「八重山の現在:移住ブームとミニバブルの中で」を執筆した。また並行して、戦前から現在までの沖縄イメージの変遷をトータルにとらえる単著の執筆を進めた。沖縄イメージの形成・展開と社会変容の実態を検証し伝えることから、他の諸地域・諸領域にも知見の応用が可能である。
|