平成20年度はまず4月、平成19年度夏にゼミの学生との共同調査の報告書『沖縄・八重山諸島のいま〜移住・観光ブームによって、島に何が起こっているのか〜』を作成した。大量の聞き取りデータからフィールドワークの成果をまとめ、20年度調査の重要な基盤となった。6月には国際シンポジウム「カルチュラル・タイフーン2008 in 仙台」で、セッション「移動・場所・イメージ〜移住ブームと開発ラッシュに揺れる沖縄・八重山諸島から〜」を開き、研究成果を発表・議論し、貴重な情報・意見の交換ができた。 この成果を盛り込む形で、戦前から現在までの沖縄イメージの形成・展開と社会変容の流れをとらえた新書『沖縄イメージを旅する-柳田國男から移住ブームまで』の執筆・編集を進め、8月に出版した。その中で八重山地域は独自の重要な位置と役割を占め、体系的な整理と把握が行えた上に、一般書として知見を広く世に問うた意義は大きい。 並行して4月から、20年度の共同調査を院生・学生と開始し、文献資料の収集・整理・読み込みを進めた。8月には調査地や対象者の選定、アポ取り、質問項目の練り上げ、スケジュール確定などを行い、9月上旬に1週間、石垣島・竹富島・西表島・小浜島(前後に補足して沖縄本島・東京)でフィールドワークを行った。終了後テープ起こしを進め、本課題の最終年度の核となるデータが得られた。秋に詳細なデータ分析を行いつつ、関連文献により理論的視点も深めた。12月から調査報告書の作成を進めた。1月には日本観光研究学会分科会で研究発表を行い、多様な観光研究の示唆を受けた。2月には19年度報告書の不充分な箇所を補足・修正し、完全版をウェブで公開し、協力者から貴重な応答をもらった。続いて20年度報告書の編集も行い、4月半ばにこちらもウェブ公開に至った。本課題の最終年度であり、3年間の総括的な知見をまとめ、成果報告書の作成を行った。
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