ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが主導した社会システム理論が、戦後に形成された一般システム理論に関する研究者集団の流れに連なる「社会学的システム理論」であろうとしていたことを明らかにした。また、この一般システム理論の研究者集団において何が問題とされていたかという出発点から、難解きわまるとされる社会システム理論を簡明に読み解く道を示した。そして、この「社会学的システム理論」の今後の展開可能性はルーマンが試みていた《社会の理論》(Theorie der Gesellschaft)の構築というプロジェクトの延長線上にあるということを明らかにし、今後の理論社会学に一定の見通しを与えた。すなわち今後の展開可能性は、社会は外側から捉えられず内側からしか捉えられないということ、言い換えると「社会が社会自らを捉える」ということにかかわる多種多様な問題を、システム理論の道具立てを用いていかに解くことができるかという道筋の上にある。
|