名古屋およびその周辺地域(愛知・三重・静岡県内各地域)における在日タイ人のネットワークと社会資本(Social Capital)の分布状況に関する調査を行った。具体的には、アンケート調査、インタビュー調査、参与観察の3種類を併用して調査を行った。 まず名古屋市内外における在日タイ人女性に関しては、平成18年4月から19年3月まで一貫して参与観察を行った。とくに7月から9月にかけてはアンケート調査を実施し、10月から12月にかけてはインタビュー調査を行った。これは、在日タイ女性によるNGO活動の現場および年中行事(ソンクラーン)、NGO構成員たちとの交流の場を参与観察の場とした。つぎに、三重県伊賀市においても、夏祭り・タイ国王誕生記念日等の場において調査を行った。さらに、静岡県では、年中行事(長政祭り)の現場等で調査を実施した。この結果、102人からのアンケート調査結果、34名からのインタビュー調査結果を得た。 この結果、名古屋およびその周辺という、製造業地帯に住むタイ女性たちが、その内部で階層化を生み出し、ネットワークを分断することによって、日本社会のなかで自らの社会的地位を守ろうとしている状況についてのデータを収集した。 調査結果は、平成19年度以降、補足調査のうえで論文としてまとめる予定であるが、平成18年度中の調査結果を、平成18年度日本社会学会での学会発表「越境移住における社会的要因の検討:在名古屋タイ出身者の事例から」として報告した。これは主に参与観察に基づいた報告であり、アンケート調査・インタビュー調査の結果は、名古屋商科大学紀要にて「越境移住者の情報分布と社会資本:名古屋周辺在住タイ出身者の事例から」として出版される見込みである。
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