1)先行研究の整理 国内については、主にセルフヘルプグループに関する研究を検討し、遺族グループの社会集団としての特質の把握に努めた。国外については、R.Silverman(2004)、T.Walter(1999)をはじめとする研究の精読を通して、遺族間相互支援プログラムの現代的意義とその実施主体のひとつであるMHG(Mutual help group)の特徴、そして、欧米における活動動向の把握を行った。また、社会調査法については、社会学の質的調査のほかに、心理学のエピソード記述法と保育学の観察記録法について検討を加えた。 2)全国的動向の把握 現時点において、全国規模で総合的に整備された遺族支援グループのデータベースは存在せず、また、データベース作成の方法についても確立していないため、インターネット上で公開されている断片的な遺族支援グループのリストの収集を実施し、それを基にして限定的ではあるが動向の把握と整理を行った。 3)社会調査の実施 福岡の団体に対して、活動の柱である定例会の参与観察(関与観察)を実施した(3回)。また、この団体を通して紹介された遺族に対する個別インタビューを実施した(2回)。その他、打ち合わせ等の会合や総会にも参加し、参与観察(関与観察)を行った(2回)。他の団体に対する調査に関しては、活動内容に関する文献資料(会報、冊子)の収集を実施し、インタビュー調査のためのアポイントを試みている。 4)今年度のまとめ 遺族支援グループの形成過程からは、家族関係の変容を支援するという活動の意義について確認することができるとともに、絶えず活動目標を創出している面と、相互作用に関するルールをある程度明確化している面が観察された。それらを通して、グループの統合性や独立性が高まっていくことになるが、ルールに合わない人を除外してしまう難点も生じる。今後、この点にどう対応するかが注目される。
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