2年目の研究として、(1)理論面においては初年度に続いて、農村社会学における家村理論および家族社会学におけるライフコース論の知見を摂取分析枠組みの(再)認識につとめた。くわえて、つきあい関係および若者集団についての先行研究を渉猟した。(2)実査面においては、これまで継続的な調査対象地としてきた山形県庄内地方のIターン就農者の集落に、調査拠点となる民家を借上げて参与観察的調査をおこなった。主に若者集団への参加形態に焦点をあて、若者のつきあい関係とIターン者の関係について調査を試みた。それらの調査からうかがえたことは、(1)Iターン者の「理念」と集落の「慣行」が、当初は折り合いをつけて「資源」として働いてきたものの、参入して時間がたつにつれ齪酷をみせつつあるようになってきたこと、(2)Iターン就農者と集落の中堅人物との間には、単なる誤解以上の認識上の大きなギャップが存在し、それは参入期間がたつにつれて大きなものに育ちつつあること、等の知見が得られた。 次年度ではIターン者と集落他世代との関係を把握し、これまでの知見を理論的に位置づけて報告を執筆したい。
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