3年目の研究として、(1)理論面においては昨年度に続いて、農村社会学における家村理論の知見を摂取し分析枠組みの再認識につとめた。くわえて、社会人類学・民俗学におけるつきあい関係および若者集団についての先行研究を渉猟した。(2)実査面においても昨年度に続いて、調査対象地である山形県庄内地方のIターン就農者の集落に調査拠点となる民家を借上げて、参与観察的調査をおこなった。若者のつきあい関係とIターン者の関係についての継続的調査からうかがえたことは、(1)1ターン者の「理念」と集落の「慣行」が齟齬をみせるようになってきた契機に「水田」取得と「馬の飼養」という事象があること、(2)Iターン者が、集落以外の有志と共同化・組織化を試みるにつれ、それに対する「歪められた情報」が集落を駆け巡り、齟齬の大きな要因に育ちつつあること、等の知見が得られた。 現在、これまでの知見を理論的に整理したモノグラフを執筆中である。
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