今年度は、前年度に作成した、奈良県の各市町村における介護保険サービス事業所データベースを用いて、介護保険事業所および介護保険サービス利用者の分布状況の分析を行った。具体的には、GISソフトを用いて、介護保険事業所および提供しうるサービス総量(定員・職員数等)の地理的分布と介護保険サービス利用者(要介護者)の分布の実態をビジュアルに把握した。また、統計的分析では把握しきれない点を明らかにするために、市町村の介護保険行政担当者に対するインタビュー調査を補足的に実施した。現在、これらのデータベースに国民保険連合会から入手したデータを関連づけるとともに、HLMなど他の統計ソフトを用いて、市町村レベルのサービス量と実際のサービス利用量との関連について、さらに詳しい検討を試みようとしているところである。 今年度はこのほか、前年度に行った、介護保険サービスがサービス利用者の要介護度の変化に及ぼした影響に関する分析結果と、介護保険導入までの家族介護者の介護実態についての全国家族調査データを用いた分析結果を研究成果として論文にまとめ、関連諸学会で発表した。今後は、介護保険サービスについて市町村レベルのサービス量と実際のサービス利用量との関連についての分析を進めるとともに、介護保険導入後の介護家族者の介護実態についても、介護保険導入後に収集されたデータを用いて分析を行い、介護保険以前の状況との比較検討を試みる予定である。
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