2つの当事者組織の実践活動では、「高齢期の労働」を「生活のための労働」と位置づけ、「生きがい就労」に加え「一般雇用的就労」の雇用形態も視野に入れ、福祉事業活動を展開する中で実現化が図られた。その際、高齢者は単なるサービスの受け手として位置づけられるのではなく、問題解決の担い手とされる。国の高齢者就労政策の一つである「シルバー人材センター」は定年制を前提とする雇用政策と連動して、職業生活からの引退過程にある60歳代前半層の労働能力活用施策として構想された。対して当事者組織の活動からは、高齢者自身が一般就労から生きがい就労へ労働の質の転換を主体的に選択することを可能とする「高齢期の労働」の在り方を模索する様子がうかがえる。
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