本研究においては、児童相談所における子どもの最善の利益を考慮した当事者参加を基本理念とする援助方針決定の現状と課題を明確化し、これからの福祉供給システムの理論化に寄与することを目的として研究を進めた。 平成19年度は、前年度の研究で明らかとなった子どもの最善の利益を基本理念とする相談システムに求められる構成要素を基に、現在の児童相談所における当事者参加を考慮した援助方針決定の現状と課題を明らかにするために「児童相談所における援助方針決定における当事者参加に関する調査」を郵送によるアンケート調査として実施した。 調査の枠組みの作成にあたっては、児童相談所の実践活動に即したものになるように児童相談所関係者からの支援を受け、検討を重ね、また、研究代表者がこれまで進めてきた都道府県児童福祉審議会の運営に関する調査を参考にした。その結果、調査の枠組みとして、I.基本事項、II.援助方針家体の現状と課題、III.児童相談所の専門性、IV.児童相談所の客観性、V.自由記述を作成し、各児童相談所の児童福祉司を対象に郵送で調査を実施した。 その結果、児相相談所の援助方針決定における当事者参加に関して、児童福祉司としての実務経験の年数、取得している専門資格、児童福祉司としての活動形態によって、援助方針決定における意識に優位な差があること等が明らかとなった。 したがって、次年度の研究課題は、今回のアンケート調査の結果を基に、今後の児童相談システムのあり方への提言を行うために、より実践に即したものになるように、児童相談所関係者へのヒアリング調査を行う。また、今回の調査研究の成果を各領域での活用に供するために報告書を作成する。さらに今回の研究成果を基に論文を作成し、政策提言を行うことである。
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