研究実施計画に基づき、平成19年2月17日から3月5日にかけての期間、スウェーデン王国ストックホルム市内及びソルナ市内において、障害者の雇用状況、就労支援策に関するインタビュー調査を行った。その際の調査目標として、1)前回調査(2004年3月)以降のスウェーデンにおける障害者雇用および就労環境をめぐる変化について把握する、(2)スウェーデンにおける障害者に対する職業訓練・職業教育のあり方を、その課題をも含めて把握する、の2点を掲げた。なお、具体的な調査先としては、(1)Sabbatsbergs Dagliga Verksamhets(公立作業所)、(2)Kooperativet KOS(障害者が運営している協同組合)、(3)スウェーデン全国障害者団体連合(HSO)、(4)機能障害者全国協会(DHR)、(5)労働市場庁(AMS)、(6)保護雇用会社サムハル、(7)MISA AB(障害者の職業訓練・人材派遣を業務とする民間企業)、(8)障害者オンブヅマン事務所、(9)ソルナ市役所、の9機関・施設を対象とした。 この調査の結果、全体としては、(1)障害者雇用のあり方が多様化・多元化しており、障害者にとっては職業生活上の選択の幅が広がってきていること、(2)地方自治体や現場のレベルでは、個々の障害者の生活スタイルや嗜好に合わせたきめ細やかな就労支援が展開されていることが明らかになった。また、昨年9月の政権交代にともない、障害者福祉関連予算についても今後は削減されることが予想されており、いくつかの調査先では新政権の動向が障害者雇用に与える影響を不安視する声も聞かれた。
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