前年度(平成18年度)は、スウェーテンにおける障害者雇用支援策に関する現地調査の結果、国営保護雇用会社サムハルが近年の経営不振に伴いその政策上の存在感を徐々に薄めつつある一方で、民間会社MISAや各種の社会的協同組合がサムハルに替わる障害者の雇用と職業訓練の場として存在感を増しつつあることが確認された。これに続く今年度の調査では、主に各社会的協同組合の活動状況に焦点を当て、各組織の設立経緯、活動体制と規模、各種法制度との関わり、自治体との協力体制、事業内容、課題や問題点などを把握することを調査目標の中心に位置づけ、スウェーデンにおける障害者雇用対策の動向のさらなる詳細に迫ろうと試みた。調査対象としたのは、ILI、GLODEN、SKOOPI、Briggen、Arista Stallの各協同組合組織、FUB(知的障害者全国協会)、RSMH(社会精神保健協会)、ソルナ、ヤルファラ、ボットシルカの各市役所、AF(職業安定所)本部であった。この結果、障害者で構成される社会的協同組合が障害者の就労の場として重要性を増しつつあることが改めて確認された。とくに、これまでLSS法の対象外であった精神障害者に関しては、自治体的協同組合の大半は自治体の補助金で運営されており、障害者である組合員を除くジョブローチや組合責任者などのスタッフも自治体から派遣されている職員が務めていた。社会的協同組合は、政府による充実した社会保障施策に加えて、このような自治体による資金面や人材面での手厚いサポートに支えられながら、着実に成果を生み出しており、サムハルに替わる(もしくはこれを補完する)新しい障害者の就労の場として、そして障害者の一般企業での就労に向けたステップとして、重要な役割が期待されていることがわかった。
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