本年度は高齢者福祉施設におけるケアワーカーの職務ストレス尺度を作成するために必要な探索的検討を行った。平成18年度の具体的な研究実績は以下の2点である。 1.介護に関するストレス尺度に関する探索的検討 ケアワーカーの職務ストレスを測定する尺度について検討するために、欧米における既存の介護負担感尺度の収集を行った。また、高齢者施設に勤務するケアワーカーにとって重要となると思われる、認知症患者を介護する際の援助希求行動や対処行動を検討するために、わが国の一般生活者のデータを用いて分析を行った。その結果、ケアワーカーの職務ストレス尺度作成に資する知見を得ることが出来た。同じく、高齢者を介護する状況におけるストレスについて検討するために、家族介護者の身体的健康についてもデータを用いて検討を行った。その結果、家族介護者の多くが慢性的疲労に悩んでいる現状が明らかとなった。ケアワーカーの職務ストレスについて検討する際にも、精神的ストレスだけではなく、身体的ストレスを考慮することが重要であることが示唆された。 2.体系的文献収集に基づく、ケアワーカーの職務ストレス尺度準備項目の作成 医学中央雑誌やMedlineなどのデータベースを用いて、高齢者福祉施設におけるケアワーカーの職務ストレスの内容について体系的に文献収集を行った。それら体系的文献収集によって得られた項目を基礎的資料とし、共同研究者とKJ法及びブレインストーミングによる検討を行った。その結果、ケアワーカーの職務ストレス尺度およびその関連要因であるサービスの質に関する尺度の準備項目が作成された。今後は、この準備項目を用いて調査を行い、尺度の信頼性及び妥当性について検討を加えていく予定である。
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