研究概要 |
本年度は高齢者福祉施設におけるケアワーカーの職務ストレスの実態を明らかにするための調査を行い,データの分析を試みた。平成19年度の具体的な研究実績は以下の2点である。 1.ケアワーカーの離職意志とバーンアウト ケアワーカーの離職に関連する要因を探索するために,岐阜県内の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に勤務する介護職員を対象とした調査を行った。調査方法は,郵送による自記式質問紙調査であり,第1次調査を2007年5月に実施し,第2次調査を2007年8月に実施した。調査によって得られたデータを分析した結果,ケアワーカーの離職意志と,燃え尽き症候群(バーンアウト)との間に有意な相関が認められた。よって,ケアワーカーの離職を防ぐためには,まずは燃え尽き(バーンアウト)に至らないような職場環境の整備が必要であり,関連要因をさらに探索することが必要であると考えられた。 2.施設におけるサービスの質とバーンアウト ケアワーカーの離職意志とバーンアウトとの関連が認められたため,バーンアウトに影響を与えている諸要因について検討した。特に,職場環境との関連について検討するために,介護老人福祉施設において提供されているサービスの質を職員自身が評価する尺度を開発し,バーンアウトとの関連について検討した。その結果,職員自身が評価するサービスの質とバーンアウトとの間に有意な相関が認められたため,よりよいサービスの提供が高齢者のみではなく,職員にも肯定的な影響を及ぼす可能性が示唆された。
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