フリーター増加の一因は、若者の能力の低下であると指摘されている。そこで現代の若者の職業的能力・社会的能力の程度を明らかにするために、平成18年7月に第1回目の調査研究を行った。その結果、著しく低い技能領域は見いだされなかったが、自己統制技能、身体健康保持増進技能、コミュニケーション技能の領域において改善が必要であることが示唆された。次に、大学生のフリーターへの意識を明らかにするために、平成18年10月に第2回目の調査研究を行った。この研究では、フリーターを志望理由別に3タイプ(夢追い型フリーター、無目的型フリーター、不本意型ブリーター)に分類し、それぞれに対する大学生の意識を検討した。その結果、大学生は特に年齢の若い夢追い型ブリーターに対してはポジティブな印象を持っていることが明らかとなった。一方、無目的型フリーターに対してはネガティブな反応が多かった。不本意型フリーターに対しては、先の2タイプの中間程度の印象が見いだされたが、フリーター全体に占める不本意型フリーターの割合は低く見積もられており、不本意型フリーターの存在があまり意識されていないことが明らかとなった。この研究によって、大学生は、タイプ別のフリーターに対して異なる印象をもっていることが明らかとなった。この研究の結果から、高校の進路指導、大学のキャリア相談においては、フリーター志望者に画一的な指導をするのではなく、当のフリーター志望者がどのタイプのフリーターになることを意図しているのかをよく理解し、それに応じた指導を行うことが必要であることが示唆された。
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