まず、大学生がフリーターに対して持つ全体的印象と、タイプ別フリーター(夢追い型、無目的型、不本意型)の許容度を明らかにするために、調査研究を行った。その結果、被調査者である大学生はフリーターに対してややネガティブな印象を持っていることが明らかになった。また、タイプ別フリークーヘの許容度は、タイプによって差は見いだされなかった。この結果から、夢を追ってフリーターになった場合でも無目的にフリーターになった場合でも、他者から受ける評価は変わらないことが示唆された。ただし、この研究では抽象的な対象としてタイプ別のフリーターを呈示していた。そのため、調査参加者が各タイプのフリーターの存在を身近なものとして受け取らず、向社会的バイアスを含んだ反応をしてしまった可能性がある。そのため、今後、場面想定法などを用いてより具体的な存在としてフリーターを呈示した場合の反応を再検討する必要があるだろう。 次に、フリーター志望抑制に及ぼす脅威アピール説得の効果を検討するために、大学生を実験参加者とする実験研究を行った。独立変数は脅威(説得メッセージで呈示するフリーターのリスクの程度)と圧力(説得メッセージにおいて高圧的な表現を使うか否か)、性(男女)であった。その結果、限定的ではあるものの、脅威アピール説得がフリーター志望を抑制することが明らかとなった。また高圧的な説得が逆効果をもたらす可能性が示唆された。この結果は、フリーター志望者に対してフリーターに関するリスク情報を呈示することの有用性と、穏やかな表現が若者の反発を低減する可能性を示唆しているといえる。
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