研究概要 |
今年度は,研究課題1「今までの実験から明らかになったユニット方略に焦点を当て,遊びの中で行われている配分行動を捉え直すこと」,ならびに研究課題2「わり算の学習前後の知識の変化」に基づき,遊びの中の学びをどのように考えていくのかという視点から,以下の3点を中心に研究を行った。 (1)遊びの中での数量概念,ならびに配分行動の分析:幼児が生活をしている幼稚園や保育所で,実際にどのような配分行動が行われているか,また数に関する行動が具体的にどのようなものであるかを把握するために,観察データを収集した。そして,「遊びの中の学び」という観点から,これらの行動を分析している。その成果の一部を論文にて発表した。また配分行動と他の認知能力との関連も分析し,学会発表を行った。そこで議論された内容をふまえ,幼児期から児童期にかけての数量やわり算の概念の変化をどのように捉えていくのか,予備的な調査を行った。 (2)特定幼児の縦断的データの収集,ならびに分析(〜20年度まで):18年度から継続して特定の幼児についての観察を行い,3年課程の幼児の発達過程を,遊びを中心とする生活の中での「学び」の観点で分析している。これらの研究は大学附属幼稚園との連携で推進し,幼稚園における園内研修会,ならびに,公開研究会において成果を提供した。 (3)大学生の発達観についての分析:遊びの中で行われている知的な活動を,教員養成の学生がどのように認識しているのかという調査を行った。大学生が「遊びの中での学び」ということをどのようにとらえ,専門性育成につながる教育の方向性を論じ,学会発表を通して,他の養成校の先生方と議論した。
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