研究概要 |
最終年度である今年度は,研究課題3「数量理解としての配分に関する知的発達の連続性の検討」として, 以下の3点を中心に研究を行った。 (1) 特定幼児の縦断的データの収集, ならびに分析(〜20年度まで) : 18年度から継続して特定の幼児についての観察を行い, 3年課程の幼児の発達過程を, 遊びを中心とする生活の中での「学び」の観点で分析している。これらの研究は大学附属幼稚園との連携で推進し, 幼稚園における園内研修会, ならびに, 公開研究会において成果を提供した。来年度は観察対象の幼児が附属小学校に入学するため, 今までの観察結果をふまえ, さらに算数教育における子どもの思考との関連についても研究を継続する。なお, 観察結果の一部は図書として発表している。 (2) 大学生の幼児期の記憶と子どもの理解 : 大学生の幼児期のときの記憶が, 実際に子どもとかかわるときにどのような影響をおよぼすのか, 特に発達観や保育観とどのように関連するのかという調査をおこなった。学会発表を通して, 様々な分野の研究者と議論した。 (3) 国際的なレベルでの包括的モデルの検討 : Dr. NunesとDr, Bryant(オックスフォード大学)のもとで, 2008年10月22日から2009年1月27日まで研究する機会を秋田大学海外派遣事業により与えて頂いた。その期間, 教育システムの違う英国での子どもの発達について話したり, 幼児期の「分ける」という行動と「わり算」の関連について, 様々な角度から議論を重ねた。そして現在,幼児期から児童期の数に関する認知発達のモデルについても検討している。
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