「虫」という身近な自然生命体と人間との交流がもたらす発達的意味を解明するために、虫をめぐる幼児期の子どもたちの認識を調査するとともに、過去10年間におよぶ行動データ(幼稚園の場における虫遊びの記録)の分析を行った。さらに大学生を対象とした質問紙調査も実施した。その結果、幼児期の後半にはすでに虫に対する好き嫌い感情に性差が生まれ、女児の虫離れが進むことなどが示唆された。また、虫をめぐるやりとり分析からは、虫遊びを通しての学びの多様性が示された。さらに、虫に対する言葉かけを分析した結果、ウサギなどの飼育動物は違う虫の独自性が示された。その結果から、虫の目線を通して世界の多様性に気づくことの意味を議論した。
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