研究概要 |
他者に起こった出来事に対する感情反応の中でも,特に無関心や感情反応がないことに焦点をあて,有能感のあり方や原因帰属との関連についての検討を行った。また,無反応(=無関心・無感情)であることの意味をより深く把握するために,同化的感情反応および対比的感情反応との関連も検討した。研究対象は全て大学生であった。 検討の結果,有能感との関連については,顔見知りの否定的事象に対して自尊感情が低いほど無反応な傾向にあった。原因帰属については,否定的事象では努力や能力帰属をする場合に無反応な傾向にあり,肯定的事象では努力や能力帰属をしないほど無反応であった。 また,他の感情反応との関連については,無反応な傾向が高い人は肯定的または否定的事象のいずれに対しての場合も同化的感情を持ちにくいことがわかった。対比的感情との関連については,無反応な傾向の高い人は他者の否定的事象に対していい気味と感じ,安堵する傾向があった。したがって,無反応であるという回答は,実際には他者に起こった出来事に対する肯定的反応というよりも,否定的反応である可能性がある。 さらに,続く研究として,社会的なニュースへの感情反応に関するデータ収集した(現在,整理中。来年度の学会発表において成果報告の予定)。これらの結果を踏まえ,次年度以降の研究につなげていく予定である。その他,質的研究を計画するために,データ収集・整理方法に関する講習会などに参加し,情報収集を行った。
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