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2008 年度 実績報告書

青少年における非当事者としての感情反応-その個人差と社会的意味-

研究課題

研究課題/領域番号 18730423
研究機関広島国際大学

研究代表者

木野 和代  広島国際大学, 心理科学部, 助教 (30389093)

キーワード社会的感情 / 他者事象 / 社会事象 / 無反応 / 青少年 / 精神的健康 / 社会的適応
研究概要

本年度は, 他者事象(親しい人や知人の成功/失敗)や社会事象(肯定的/否定的ニュース)に対する感情反応のなさ(無関心・無感情)と精神的健康や社会的適応との関連を検討した。
他者事象に対する無反応については, 無気力感や困難な事態に対する回避傾向との関連を検討した。その結果,無気力感の下位側面である自己不明瞭さ, 他者不信・不満足が高いほど, 無反応傾向が低いことが示された親しい人の成功・失敗などに対して無反応を示しやすいことがわかった。自分自身の把握ができない感覚や他者に対する不満感が他者に対する関心を抑制している可能性が考えられた。また, 親しい人の成功・失敗に対して無反応な人ほど, 回避的な対処方略をとりがちであることがわかった。さらに, 精神的健康との関連については, 親しい人の成功・失敗への無反応は生活満足感と負の関連を示した。親しい人の成功・失敗に何も感じないことは適応的な状態とはいいがたいことが示唆された。
社会事象に対して無感情であることの利点としては, 周りに流されないことなどがあげられたが, 逆に, 何かを感じることの意義としては, 他者とのつながりにかかわる言及がみられた。加えて, 無感情である人と親しくつき合うことを望む人の割合は低く, 社会事象が否定的な内容の場合にこの傾向が強いことがみてとれた。社会事象に対して無感情であることを表明することは,対人関係上, 適切とはいえないことが示された。また, 社会事象に対する無反応と身近な他者に対する感情反応傾向の関連を検討した。その結果, 無反応な傾向は, 身近な他者に対して肯定的な感情が低いほど高かったが, 否定的な感情を抱くかどうかとは関連がみられなかった。これまでの知見もあわせて考えれば,身近な他者への肯定的な関心が,より広い社会に対する反応に結びつくと考えられ, これが社会的適応にもつながると予想される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 他者事象に対する感情反応と無気力感・ストレス対処の関連-無反応に焦点をあてて-2008

    • 著者名/発表者名
      木野和代
    • 学会等名
      日本心理学会第72回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2008-09-23
  • [学会発表] Emotional irresponsiveness toward the social events and emotions for close others2008

    • 著者名/発表者名
      Kino, Kazuyo
    • 学会等名
      XXIX International Congress of Psychology
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      2008-07-23

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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