研究概要 |
研究1 事象関連電位による随伴性判断の測定 方法 対象者 大学生20名(現在8名で継続中) 課題と手続き 新薬の開発文脈を設定した。1つは新薬成分の効果の程度を測定するもので、もう1つはその副作用の程度を測定する文脈である。被験者はいずれの課題も100試行ずつ行ったが、文脈の順序はカウンターバランスした。いずれの場合も、4種類の成分をそれぞれアルファベットで紙上およびモニター上に呈示し、被験者は手元のボタン押すことによって、(架空の)被験体の何割に効果があったか、あるいは副作用が認められたかをフィードバックされた。被験者は、従来薬の効果や副作用の程度を基準値として、それとの比較で新薬の効果や副作用がどの程度あるのかを判断した。たとえば、従来薬の効果が5〜6割の被験体で認められるなら、新薬はそれ以上の割合で効果を示せば「成分と効果との随伴性」が(正の)評価に値すると判断できるわけである。副作用の場合はその逆で、副作用の割合が従来薬の設定値よりも小さければ評価できる。いずれもその逆ならぱ負の評価である。 脳波の測定と装置 課題遂行中、継続的に脳波を前頭部、前頭-中心部、中心部、頭頂部の計4部位から鼻尖を基準として導出した。刺激(割合)の呈示時点に同期させた刺激呈示信号も脳波とあわせて記録した。 分析 新薬の効果文脈条件と副作用文脈条件にわけて、随伴性がある試行とない試行を区別した上で、数値情報を呈示した時点を基点(0時点)として脳波を加算した。瞬きによる脳波の変動はオフラインで補正した(Verleger et al.,1982)。そして,文脈条件別に、随伴性が十分にある条件とほとんどない条件の比較を行った。 結果と考察(経過報告) 8名のデータを分析した結果、効果文脈では随伴性の有無に関わらずフィードバック陰性電位(FN)が認められ、その大きさに大きな差異は認められなかった。一方、副作用文脈では、随伴性がない場合よりもむしろ、随伴性が認められた場合にFNが明瞭に認められた。副作用文脈の結果は、随伴'性がなかったという意味での否定的な情報よりも、副作用が認められて問題が生じたという意味での否定的情報がFNを増大させたことを示唆するものであった。
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