超重度障害児(者)(以下超重症児)を対象とした研究は、医療的側面からは多いが、療育的視点からの検討はわずかである。加えて、超重症児の中には、障害が重篤であるため、療育者が働きかけに対する反応をほとんど見いだせない児も存在する。このような場合、療育の効果を検証し、さらなる活動を展開していくことは難しい。以上を踏まえ、本研究では、療育的視点に立ち、外見上反応を捉えがたい超重症児を対象として、働きかけに対する定位反応の発生・発達的変化を評価する。それを受けて、外界の刺激に対する超重症児の認知発達における援助のあり方を検討することを目的とする。 今年度は、年度計画に基づき、準超重症児2例を含む4例を対象に、日常かかわる療育者による日常生活における行動評価を実施した。加えて通常の療育活動場面と刺激を限定して呈示する実験場面とを設定し、VTR撮影による反応生起および心拍変動を測定した。 結果、作成した評価表に基づいた行動観察では、3事例で反応が確認できないと判断される結果となった。しかしながら、日常生活の中で最も呈示頻度が高いと考えられる呼名を刺激として一過性心拍反応による刺激の受け入れに関する評価を試みたところ、3事例において定位反応を反映するとされている減速反応が確認された。また、日常の療育活動等で頻回に呈示する刺激を用いて同様の評価を試みたところ、すべての事例において減速反応が確認された。しかしながら、減速反応の出現率にはばらつきが見られるとことから、次年度においても継続して評価を実施し、縦断的評価を試みたい。同時に超重症児の認知発達における援助のあり方を検討するために、事例数を増やし、反応動態別のグルーピング等、分析を試みたい。
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