平成19年度は、平成18年度と19年度にかけて大規模サンプルによる横断的調査を実施し、データ分析を行った。平成18年度に作成した運動発達を含む発達等に関する項目と、日常生活動作を評価することのできる項目を用いて質問紙を作成し、協力の得られた肢体不自由養護学校に在籍する児童生徒、約150名を対象に調査を実施した。得られたデータは数値化されたのちに、分析に適する形に加工され、多変量解析(重回帰分析)が行われた。その結果、日常生活動作に影響を及ぼす要因が特定化されることとなった。具体的には、移動や手の動き、年齢、表出、視覚などであった。これらの要因が、日常生活動作の状況を決定する項目として見出された。これが第一に重要な結果である。 また第二の重要な結果として、現在肢体不自由養護学校に在籍する児童生徒においては、日常生活動作の状況が比較的目立しているものと、自立が難しいものに2分化されることがうかがわれた。障害の重度、重複化が指摘される中で、その傾向と合致する結果と思われた。今後は、この2分化されたふたつのグループを分けて、それぞれの検討及び比較が必要と思われ、継続しでいく予定である。 また平成19年度は典型事例への縦断的な検討も併せて行っている。肢体不自由をもつ児・者を集めた療育会を定期的に開催し、日常生活動作を見立てと評価の視点に組み込みながら、蓄積をしている段階である。今後は、この蓄積された実践的な取り組みから、事例の分析を中心とした研究を進めていく予定である。
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