本年度は、本調査を実施する前段階として、箱庭制作過程における制作者の体験を捉える手法を開発するための資料収集、およびその手法を精緻化するための事前調査を行った。本研究では、箱庭制作過程における身体感覚や動的な体験にアプローチする手法として擬態語を取り上げて行うものである。しかし、一口に擬態語あるいは擬音語と言っても、実際には無数の言葉、種類が存在している。そうした擬態語あるいは擬音語をめぐって、ひとまず一般に広く認知され、また多くの人が共通の意味として共有することができる形で通用している擬態語および擬音語を収集するとともに、言語と音(声)とのつながりやその意味づけに関する文献や過去の研究の収集・検討、さらには日本語のみならず他の言語における擬態語あるいは擬音語やその言語と音(声)とのつながりについて文献による検討を行うことを通して、本研究における擬態語の位置づけや擬態語を用いる意義について幅広い知見を得た。本調査の準備段階として、一般に共有されている擬態語および擬音語として約1500語を収集し、それらを意味内容で分類した上で、さらにそれらを本調査でいかに用いることができるかについて事前調査を行った。その中で、いくつかの擬態語および擬音語をある種の刺激材料として用い、その後に制作者自身による自由記述を行うことで、より制作者の体験に即した形での表現が促される可能性が見出された。本調査に向けて、そうした刺激材料となる擬態語の選び出しや、本調査で用いる方法のより一層の精緻化を現在進めているところである。
|