本土と比較して離島勤務の教師においては、教育実践に必要な情報や支援を多面的に且つ迅速に得ることが困難な状況がある。そこで本研究課題では、まず離島である徳之島に調査に出向き、徳之島町教育委員会と徳之島町内の小学校1校及び小中併設学校1校を訪問してインタビューと授業参観・施設見学を行った。その結果、教育相談・特別支援・複式授業・情報通信機器に関する知識や技能の獲得の困難、教材の入手困難、地域コミュニティーとの関係、勤務の多忙さ等の情報が得られた。次に、質問紙による調査を行った。質問紙の作成にあたっては徳之島における現地調査で得られた情報を活かして、勤務環境・教育環境・地域環境、ストレッサー、ストレスコーピング、ストレス反応、パーソナリティー、社会的支援、情報通信機器の教育利用等の観点から質問項目を組み立てた。そして、鹿児島県教育委員会に調査への協力を依頼し、鹿児島県内全域の小学校(91校を抽出)で、その新たに作成した質問紙による調査を実施した。回収率は約63%であった。以下に、仮分析の内容を示す。都市(鹿児島県内の3大都市に小学校が立地;以後、都市群)と離島を含む僻地部(以後、僻地部)の2群を作り、群間比較を行った。その結果、都市群に比較して僻地群のほうが、情報や教材の入手が難しいこと、児童の人間関係が固定化されていること、保護者や地域との関係が良好であると同時にそれに関わる業務が多いこと、児童と教師の関係が良好であること、期限付き講師への支援がより必要であること等の傾向が明らかになった。
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