研究概要 |
本研究では,日本における心疾患患者への心理的援助プログラムのガイドライン作成めざし基礎的な知見を整理・提示しその効果的なあり方と今後の課題を明らかにすることを目的に,心疾患罹患者の心理・社会的特性を面接調査,質問紙調査を実施した.両調査とも,医療機関の倫理委員会から承認を得たのち,心臓リハビリテーションを導入している医療機関および一般協力者への説明と意見交換を十分に行ったのち調査協力者,1人1人に調査内容を説明し同意を得た上で実施した. 面接調査では具体的に求められる支援内容や病前の生活パターンなどを問う調査であり質問紙調査では,心臓リハビリテーションに通院している患者97名(男性74名,女性21名:平均年齢:66.5±12歳),一般協力者101名(男性60名,女性41名,平均年齢:61.0±10歳)を対象に,無記名での自記式調査を実施した.調査用紙には,性別,年齢などの基本情報および,GHQ28(Goldberg,1972),HADS(Zigmond AS,1993),Ways of Coping Questionaire(Lazarus,1985),SF-36(Fukuhara,1998)など既存の尺度と,これまでの研究により作成された項目が含まれた. 面接調査は現在継続中であるが,質問紙調査の回収率は96%であり現在までにリハビリテーション参加者では,(1)精神的健康度は低く,またストレス対処得点の中でも特に,計画的問題解決などが低い傾向がみられている,これらの結果から,心臓リハビリテーションにおいてストレスへの対処が必要でありその具体的な方法をプログラムに取り入れる必要性が感じられた.なお研究成果の一部を,第13回日本心臓リハビリテーション学会などをはじめ,関連学会で報告する予定である.さらに今後調査1の結果とあわせ,現場で必要な対応とともに,現場で有用な調査票を検討する予定である.
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