研究概要 |
今年度は,昨年度作成した心理検査の教育プログラムを実施し,その結果を検討した。心理検査はMMPIを用いた。まず心理検査に関して,実際にフィードバックを業務として行ったことはない未経験者に対して,本教育プログラムを実施した。教育プログラムは,大きく分類すると,使用する心理検査の知識を確認する段階,解釈手順を確認し,解釈練習を行う段階,フィードバック手続きを,ロールプレイを用いて検討する段階,3種類の練習用プロフィールを用いて,フィードバックを行う段階に分けられる。 このような教育プログラムを実施した後,心理検査のフィードバックを希望するボランティアを募り,先の教育プログラム修了生にフィードバックを実施してもらった。ボランティアにはフィードバック後,アンケート用紙の形式で複数の観点から評定を行うよう依頼した。 この結果,本教育プログラムを受けた修了生は,実際にフィードバックを受けたボランティアから全般的に肯定的な評価を受けていることが分かった。たとえば,フィードバック時の説明の適切性,フィードバック担当者への信頼性の醸成,自己理解の促進,といった種々の肯定的な結果が得られた。 またこの結果を,すでに業務としてフィードバックを行っている相談機関のスタッフのフィードバック結果と比較したところ,得点分布において,非常に似通った分布を示し,さらに肯定的な評価においてもほとんど等しい評価を得ていることが分かった。これにより,本プログラムが修了生のフィードバック手続きを向上させ,さらにフィードバックを受けたクライエントにも好ましい影響を与えることが期待できることが示唆された。
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