アタッチメント投影的測定方法として作成したPARS(親子状況ピクチャー)を、大学・短大生(以下、大学生)と乳幼児を育児中の親(以下、親)とに実施した。 まず、PARSの作成過程(刺激画の選定の理論的背景を中心に)と、大学生のPARSへの反応傾向を四天王寺国際仏教大学紀要に発表した。反応傾向については、ストレスや要求が表出され調整されるという標準的な反応をする群、ストレスや要求の表出がない群、刺激画場面にしては強すぎるストレス反応をする群が認められた。また、少数であるが、登場人物を親子以外に設定するなどといった独特の反応群もあった。これらの差異がアタッチメントに関するIWMとどう関連するのかを検討することが課題となった。 大学生のPARSの反応傾向と、日本語版ECRとの関連については、日本心理学会で発表した。ここでは、意識的な自己評定によるECRで親密性の回避や見捨てられ不安を低く報告する者に、PARSで親子場面以外の設定をする独特の反応群が多く、情緒的対人情報処理における回避的なIWM方略ではないかと考察した。 最後に、PARSへの反応について、大学生と親との反応傾向を比較し、発達心理学会で発表した。親データは、現在育児中であるという現実に影響を受けるためか、大学生データとは異なる反応傾向が認められたが、それでも、アタッチメントに関するストレスや要求の扱い方という視点では、大学生と共通する反応パターンが抽出できた。今後は、年代差や性差もふまえながら、PARSの個人差とAAIとの関連を検討する予定である。
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