研究概要 |
行動変容のTranstheoretical Model(TTM ; Prochaska & DiClemenete,1983)では,人は自らの行動を変容させるまでに,その行動に対する本人の準備性の違いによって分類された5つの変容ステージ[前熟考,熟考,準備,実行,維持]を経過すると理解されている。本研究では,地域高齢者のストレス管理にTTMを適用したプログラムを開発することを目的とした研究を実施している。 平成18年度は,1ストレス管理に役立つ基礎情報として,心理的ストレスに関する各種の検討(高齢者を含む各種対象者についてのストレスに関する調査研究),および2ストレス管理行動へのTTMの適用,特にTTMを構成する主要変数である変容ステージ,セルフエフィカシー,行動実施に対する恩恵と負担の尺度作成について検討を行った。1については,高齢者のストレッサー(ストレスとなりうる環境要因)を測定する尺度を開発した。また,勤労者を対象にストレスへの対処行動に関する調査研究のデータを分析し,食べることや喫煙などの健康行動を含む対処行動とストレス反応との関連を検討した。これらは実際のストレス管理プログラム作成に役立つ情報となる。 2については,関東地方N町に居住する65歳以上の全高齢者5034名を対象に実施した質問紙調査のデータについて分析を実施し,変容ステージとストレス管理行動の実施頻度との関連の検討,変容ステージとストレス管理に対する自信(セルフ・エフィカシー)との関連の分析,ストレスを管理することの恩恵と損失の尺度作成,についてそれぞれ横断的な検討を行った。今後は,調査データの論文化と,縦断調査に基づくデータ収集およびその解析が課題になると思われる。
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