研究概要 |
行動変容のTranstheoretical Model(TTM;Prochaska&DiClemenete,1983)では,人が行動を変容するまでには,行動に対する本人の準備性の違いによって分類された5つの変容ステージ[前熟考,熟考,準備,実行,維持]を経過すると理解されている。本研究では,地域高齢者のストレス管理にTTMを適用したプログラムを開発することを目的とした研究を実施している。 平成19年度は,第1に,高齢期のストレス管理に役立つ基礎情報として,心理的ストレスに関する検討をおこない,高齢者のストレッサー(ストレスとなりうる環境要因)を測定する尺度を開発して投稿した。第2に,ストレス管理行動へのTTMの適用に関する検討をおこなった。ストレス管理行動へのTTM適用に関する文献展望を実施して学会発表を実施した。ついで,TTMを構成する主要変数である変容ステージ,セルフ・エフィカシー(ストレス管理に対する自信),メンタルヘルスの状態(抑うつと不安)との関係について,高齢者約3,000名の縦断的なデータを収集し,変容ステージの縦断的変化の検討,変容ステージとセルフ・エフィカシー)の変化の分析,変容ステージの変化とメンタルヘルスとの関連についてそれぞれ縦断的な検討を行った。さらに,ストレス管理行動の変容ステージについて大学生のデータであるが再検査法により信頼性を検討して学会発表を行った。 今後は,学会発表の内容を論文化すること,分析結果の学会・論文投稿による公表,研究知見の総括が課題になると思われる。
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