研究概要 |
平成18年度の研究実績は以下の通りである。 1.運転時の運転者の反応時間を推定するために,運転者の眼映像を実時間で画像処理することを考案した.眼に関する様々な情報を精度良く調べるためには,高解像度の眼映像を撮影する必要があった.また,覚醒低下時の条件を考慮するためには,被験者への負荷を減らすために非接触な測定装置が不可欠であった.このような問題点を解決するために,運転者の眼を自動的に追従しながら撮影するシステムを開発した.このシステムは,運転者の眼の位置を画像処理によって検出し,その位置情報に基づいて自動的にPan-Tilt方向にカメラの向きを制御する.この装置を用いることによって,反応時間と眼映像との関係を調べることが可能になる. 2.運転者の反応時間を実車を用いて評価することは,非常に困難である.そのため,運転中の反応時間を計測するためのドライビングシミュレータを開発した.このドライビングシミュレータに1で開発した眼映像撮影装置を搭載し,運転中に実時間で運転者の眼映像を非接触で撮影できる機能を追加した.ドライビングシミュレータ内には,任意の台数の車両を走行させることが可能であり,先行車の挙動をプログラムによって自由に設定することも可能である. 3.開発したドライビングシミュレータを用いて,運転中の会話が反応時間に与える影響について調べる実験を行った.その結果,話者が運転者に話しかけるタイミングによって,運転者の反応時間が大きく影響を受けることが明らかになった.特に話者が運転者に対して,話しかけるときが,最も反応時間が遅れやすいことが明らかになった.
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