本研究は、高等学校でのキャリア教育と教科教育がどのように結びついたとき、生徒のいかなる行動を引き起こすのかについて、理論的、実証的な検討を行うものである。まず第1に、生徒はキャリア教育での諸活動を通して職業世界に一定の関心を示しているが、職業世界と日常的な教科学習との関連性については認識が希薄であることを指摘した。第2に、生徒はキャリア教育の諸活動の意味および効果を、高校卒業後の仕事ないし大学への移行に伴う学習経験の変化を通して事後的に認識することを解明した。第3に、生徒の教科学習への取り組みを促進する上で、カリキュラムガイダンスが一定の有効性を示すことを報告した。また、キャリア教育としてのガイダンスの在り方として、継続的なキャリアプランの作成を取り入れるなど、生徒が回顧的に学習経験を意味づけ、再認識する契機として活用することの重要性を指摘した。
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