本研究は、多くの公設成人教育施設が直面している今日的弱さを、いま進められている官民共同運営にむけた改革のなかでいかに越えられるのか、その条件は何か、を実証的に検証することがねらいである。 原理的には、行政と民間の混合型の経営体には、行政外部の視点やノウハウを取り入れ、地域主権の施設経営をさらに追求しうる可能性がある。しかしながら、財政削減の圧力がきわめて強い今日の行革下では、施設管理の視点しか持たない事業者に委託されたり、受託した市民団体・地域団体が窮屈な条件に押し込められるケースが少なくない。さらには、行政組織自体が、住民と接点を失いかねないおそれも指摘されている。 本研究においては、種々の先駆的事例の調査をとおして、こうしたおそれを乗り越えうる官民パートナーシップを築くための視点を検証、提案した。
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