研究概要 |
3年間の研究計画のうちの2年目として、「教育」と「心理臨床」の境界について、発展的な内容を含む研究を行った。 本年度は学会発表と著書が中心的成果となった。雑誌論文については、18年度に4本(全国学会誌3,地方学会誌1,いずれも査読付き)の成果をあげたためである。 学会発表としては、教育思想史学会第17回大会「フォーラム2」にて、「フロイトからフロイト主義へ/病因論から教育言説へ -精神分析の心理学化と因果論の変容」と題する発表を行った。教育の「心理主義化」といわれる今日的状況を批判的に問い直すため、正統的フロイト派とみなされてきた自我心理学派の代表たるハインツ・ハルトマンが、フロイトの思想をいかに受容し、またそれをどのように心理学的に変容させたか、そしてそれが教育といかに結びついたかを論じた。 なお、本発表の内容は改題・改稿の上『近代教育フォーラム』(教育思想史学会)に投稿した。順調にいけば、20年9月に刊行予定である。 共著書『道徳教育』(学文社)では、第3章「道徳性の発達理論とその臨界」を分担執筆した。そこでは、フロイト、ピアジェ、コールバーグにおける道徳性の発達理論を検討しつつ、道徳性に関する心理学的発達理論は、〈事実〉に基づく客観的知識という側面を持ちながらも、各論者あるいは私たちがいかなる道徳を求めるかという価値判断とも不可分でもあることを論じた。 (なお、この共著書については、18年度の報告書に誤って記入してしまったが、発行日は2007年4月20日であり、19年度に記入すべきものであった。お詫びして訂正したい。)
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