6月に、国際アジア文化学会2009年度(第18回大会)で、日本統治占領後の「香港の学校における不良少年の戦後史」を発表した。日本統治時期の少年犯罪に関する資料は少ないため、戦後の資料から、日本統治の影響を調べた。また、昨年度までに収集した資料を用いて、8月に、日本司法福祉学会第10回大会で、「日本植民地・占領下の台湾、朝鮮半島、中国東北部における少年犯罪の比較研究」を発表した。植民地下の台湾より朝鮮の方が、日本型少年司法が入っていたことが分かった。国内では、元満洲法務部の方、日本統治下朝鮮で教師をした女性、関東州で教育を受けた日本人、日本統治下・内モンゴルにいた日本人にインタビューをした。また、中国・大連では戦前関東州で教育を受けた中国人に、内モンゴル自治区フフホトでは、蒙彊自治政府時代日本の高等教育を受けた人にインタビューをした。台湾では日本統治下台湾で教育を受けた台湾人に、当時の教育、少年犯罪、その制度、実態についてインタビューをした。 ここから、当時の日本植民地・占領下では、日本型少年司法が一部入ってはいるが、少年福祉があまり行われていない状況が明らかになった。4年にわたる研究成果で、日本型近代少年司法がどのように、アジア各地に制度として定着したのか分かった。
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