本研究では、現代日本の私立大学の量的拡大の基盤形成が、すでに戦前の日本において、私立高等教育機関を含めた私立学校の設置形態として、法人制度が採用された時点にまでさかのぼることができることを明らかにしようとした。この点から本研究を進め、近代日本の私立高等教育機関の設置形態が私人から社団法人・財団法人へ、さらには財団法人のみへと収斂していくなかで、私立高等教育機関の量的拡大の基盤が形成された一端を明らかにすることができた。本研究の方法としては、戦前日本における私立学校政策を中心とした文教政策とこれに対する私立高等教育機関の対応を、行政文書あるいは私立学校に保管されている文書といった史資料の分析をとおして、歴史的な手法により明らかにした。また、本研究の対象時期は、上記と関わって、私立学校の設置形態として法人制度が可能となった1898(明治31)年の民法施行から1940(昭和15)年までに設定した。
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