平成19年度においては第一に、同和教育運動の中での<宿題>をめぐる議論や実践の事例を、各地の同和地区を訪ね歩きながら資料を渉猟した。18年度に続き、本年度においても特に重点を置いたのが、高知県地方において、同和地区を対象に配置され、地域・家庭・学校の結び役として活躍した「福祉教員」の軌跡に関する資料收集および聞き取り調査である。現在、経験者の高齢化が進み記録に残すのが喫緊の課題となっているが、前年度に続き、さいわい草創期を知る経験者からインタビューをすることができた。また今日においても同和教育への関心が持続して高い室戸地方において、地元市教委の協力を得て多くの関係者と会うことができた。それらの成果を、日本教育学会紀要『教育学研究』において研究ノートとして発表することができた。第二に、同和地区における住宅改良事業の展開を、教育の視点、とりわけ宿題の問題に引き寄せながら再解釈する試みを、同じく高知県をフィールドに試みた。福祉教員からの聞き取りを通じて、住宅の問題についても知見を得ることができた。
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