本研究は、コンテンツ産業を我が国における知識集約型産業の牽引役として位置づけ、その人材育成システムのあり方を、高等教育論的、大学評価論的、教育経済学的に考察・開発することを目的とした。具体的な研究事例はアニメーション・マンガ産業である。 今年度は、昨年度購入したアニメ・マンガ産業関連人材名簿等の資料の解析、webを利用したアンケートと個別大学へのインタビュー調査によるケーススタディを行った。資料の解析では、この分野の人材の供給源が解明されつつあり、人材の絶対数の増加・高学歴化カミ明らかになった。Webを利用したアンケートな、Webの性質や昨今のアンケート調査への抵抗感の高まり、およびシステムの不安定性から十分なデータが得られなかった。ケーススタディは、具体的には京都精華大学、東京工科大学、東京藝術大学など複数の大学を調査した。その結果、アニメ・マンガ関連学部等の設立には、母体として伝統的芸術系学部やアニメ・マンガ関連の専門学校の存在が重要である点、設立を決定づけるキーパーソンの存在(東京工科大)が重要である点などが明らかになった。さらに、設置申請時のカタカナ学部名称や大学でアニメ・マンガ関連の組織を作ることへの本質的抵抗感が審査者や政府から示されるなどの困難もあったことが明らかになった。さらに、先行する専門学校との内容的差別化に関して理想とは別に現実についての不透明感が明らかになった。
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