本年度は三年間の研究計画の二年目にあたり、以下の研究を行った。第一は、平成18年度に行った「薬物に関する児童生徒の意識調査」のデータ分析を行い、薬物への意識の実態と薬物乱用防止教育の成果について実証的に明らかにし、児童生徒の生活の文脈にあてはめた薬物乱用防止教育の必要性を明らかにした(この成果をもとにPTA用啓発プログラムを開発)。第二は量的な調査のデータ分析と質的調査の結果を対比し、ドラッグへの肯定的な解釈を有する青少年の意識実態と薬物乱用防止教育の関わりから、実践的課題を明らかにした(量的調査と質的調査を統合し、トライアンギュレート法を用いた課題発見の成果の一部を『新説 教育社会学』において報告)。第三は薬物乱用防止教育プログラムの教材・授業モデルの開発を行った。小学校教諭の研究協力者(二名)にお願いし、共同で実施した実践プログラムを分析し、授業モデルを開発・改善した。夏期には松山市中学校生徒会連合会を対象としたプログラムの中で、「いじめ」と「薬物問題」を相関させた問題解決型ワークショップを試行的に行い、実践分析を行った。10月には、授業実践の質的向上のため、カリフォルニア州(USA)に渡航して、保健教育「Health Framework」における薬物乱用防止教育の資料収集(カリキュラム資料・教材資料収集)やレッドリボンウィークにおける薬物乱用防止啓発資材や啓発活動資料の収集を行った。 なおこれらの研究成果を用いて、小中学生対象啓発プログラムを開発した。また学校薬剤師の行う薬物乱用防止教育プログラムの小中学校用プレゼンテーション資料を作成し、配布を行った(2008年2月愛媛県教育委員会保健スポーツ課主催研修会)。この開発したプログラムを用いて小学校5校、中学校4校で、成果を元にした薬物乱用防止教室を行うなど、研究成果を積極的に地域教育界に還元しながら、実践プログラム開発を行っだ(日本特別活動学会にて一部成果報告)。
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