ここでは、過去25年間のZEP(教育優先地域)の政策展開を踏まえた後、その政策評価および研究者による学業上の成果に関する分析をレビューした。その上で、「教育の不平等」ないし「教育の民主化」をキーワードにフランスの教育社会学研究からZEP政策を通していかに教育の不平等が克服できたのか、あるいはなぜできなかったのか、その評価について考察した。 なかでも本年度の取り組みでは、貧困地区の子どもの生活実態調査と学業調査の関係についてまとめた。生活保護を受けている家庭に育つ子どもの、学業達成がいかに不利となるかについてはこれまでの社会学研究同様の結果が明らかとなった。 こうしたゲットー化対策として2006年度より実施される雇用・社会統合・住宅省の「教育の成功」計画を中心に、どのような学校外活動が教育困難地域の子どもを対象に行われ、どのような教育効果がみられるのかといった今後の課題が明らかとなった。
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