研究概要 |
平成18年度は1.イギリス高等教育改革の研究と2.大学組織論の再構築の二点を中心に研究をすすめた。 1.に関しては特にイギリスにおける大学のコーポレート・ガバナンス論の展開について主に大学におけるリスクマネジメントのあり方を中心に,大学経営を統制するシステムについて研究し、その成果は青山学院女子短期大学紀要第60輯に掲載された。その概要は、イギリスのコーポレート・ガバナンスと大学におけるリスクマネジメントのあり方は,これらの概念がもとは民間企業の不祥事から始まったにせよ,大学の社会的責任を問う声やアカウンタビリティーの重要性と相まって,現在のイギリスの大学にとって重要な概念となり,大学経営上必要な概念として組み込まれていることが明らかになった。昨今、大学の管理責任が問われる場面が出てきているが、このような事態を防ぐには大学は全学的にリスクに取り組み,健全な内部統制システムを構築することが必要であり,その意味でリスクマネジメントを中核においた健全な内部統制システムを大学の経営管理プロセスに組み込んでいくことが重要であることが分かった。 2.に関しては、経済学や経営学における比較制度分析に代表される新制度論の研究、レビューを行い、また大学組織論への応用を行った。その成果は日本教育制度学会第14回大会にて発表された。その概要は、比較制度分析におけるエージェンシー理論を大学組織分析に応用することにより、従来の決定論的、記述的説明から普遍性が高く、比較可能性が確保される、演繹的な大学組織モデルの構築を可能になることが分かった。
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