本研究「反省的実践家としての教師の力量発達を支援するアクションリサーチ・プログラムの開発」では、特に小中学校の教師の力量形成過程に注目し、教師が自らの授業実践を省察することを通して、自らの実践課題を掘り起こし、課題解決に向けての足がかりを自らつかんでいくことのできる研修の場として校内研修を位置づけ、事例研究を積み重ねてきた。 〔事例〕 (1)福島県内H小学校 (2)福島県内F小学校 (3)宮城県内K小学校 (4)アメリカ合衆国ジョージア州グウィネット群(Gwinnett Instructional Support Center) 申請者は(1)〜(3)の学校における校内研修に定期的継続的に参加し、教師が自らの授業をひらき、同僚と授業を見あい授業の事実を語り合うなかで、授業者としての自分には見えていなかった事実に遭遇したり、自分の意図したことが子どもの学びにどのような意味・影響をもたらしていたかについて気づかされる経験を積み重ねていく姿を追った。授業研究の場が授業をひらいた教師にとってどのように意味づけられ、その後の授業スタイルや自身の授業や子どもに対する見方・考え方にどのように反映されていったかをインタビューやふり返りカードの記述を通して追跡し、考察を行った。 さらに(4)においては、群教育委員会が各学校の校内研修をいかにサポートし、さらに学校のリーダー(校長・教頭)に対してどのような研修を行うことで学校単位の研修の充実を図ろうとしているのかについての実地調査を行った。特に、各学校における研修が1人ひとりの教師の力量形成に寄与しうるものにしていくために、群教育委員会が開発した「専門職としての教師の学び合うコミュニティ(Professional Learning Community)」づくりという発想に基づく研修プログラムの存在が極めて重要な機能を果たしていることが明らかになった。本プログラムの詳細については、今回の実地調査で収集してきた資料・インタビュー結果をもとに現在も分析を進めている。
|