研究概要 |
本研究の目的は,中学校数学図形領域における動的幾何ソフトを用いた学習環境下での,図形概念及び説明・証明 の役割や機能に対する生徒の認識の変容などを特定することである。 平成18年度は,ユークリッド幾何2次元動的幾何ソフト,3次元幾何ソフト,球面に代表される非ユークリッド2次元動的幾何ソフト,及び3次元動的幾何ソフトの仕様を比較し,これらの動的幾何ソフトで扱いやすい教材と扱うことが難しい教材を区分するなど,動的幾何ソフトの仕様(機能)と限界を整理した。 また,動的幾何ソフトを用いた教授学習に関する研究成果を整理した。特に,3次元動的幾何ソフトを利用した空間図形のカリキュラムの認知的な効果について,同一校での実験群と統制群及び教育課程実施状況調査の結果との対比により考察した。その結果,平面図形の運動による空間図形の構成や空間図形の平面上での表現などについて,意識面を含めた効果があることを明らかにした。また,3次元幾何ソフトに関する実践事例を収集・整理し,3 次元動的幾何ソフトに関する暫定的な成果と課題を整理した。 加えて,説明・証明の役割や機能に対する生徒の認識の変容を捉えるために,調査結果に基づいて生徒の認識の違いを相として特徴づける枠組みを設定した。 さらに,日本の中学校数学のカリキュラムとの関連を考慮しつつ,次元の拡張(もしくは退化)を伴う学習内容について,予備調査で用いる素材の準備をした。
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