研究概要 |
本年度は, 中学校数学図形領域における動的幾何ソフトを用いた学習環境下での, 図形概念及び説明・証明の役割や機能に対する生徒の認識の変容に関して,次の成果を得た。 ◆説明・証明の役割や機能に対する生徒の認識の変容に関する成果 生徒の認識の変容には, 一つの説明・証明の役割や機能に対する認識の変容と, 複数の役割や機能間での認識の変容が考えられる。そこで, 後者に関して, 改良された推測や関連する新たな推測の生成を伴う事例についての検討を通して, 「説明」と「発見」の相補性を指摘した。その相補性は, 同一の証明の機能間にみられる場合と, 原証明の機能と新たな推測についての証明の機能との間にみられる場合がある。「説明」をより具体的に述ベた「その性質がなければ命題が成り立たなくなる固有な性質を示す」機能も例外ではなく,「発見」との関わりによってより顕在化されることを指摘した。 ◆中学校数学図形領域における動的幾何ソフトを用いた学習環境下の特性に関する成果 説明・証明の役割や機能に対する生徒の認識について, 中学校数学図形領域における動的幾何ソフトを用いた学習環境下に焦点をあてるためには, 他の領域にとどまらず, 他の学校段階との関連を明確にする必要がある。そこで, 2つの観点, 「児童・生徒に求める説明内容」及び「小・中・高等学校での「証明」指導の一貫性」に着目し, 我が国における説明・証明研究の今後の取り組みに対する方向性を検討した。
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