研究概要 |
大正自由教育期における社会系教科教育実践について, これまで実施してきた「授業レベル」の考察を土台にして, 「教科カリキュラムレベル」にまで検討の視野を広げて, 伝統的社会系教科が変革にむかう過程と到達点を明らかにするために, 今年度は次のような手順で研究を進行させて, 本研究の最終年度の整理を実施した。 昨年度までに収集した史資料の整理と分析を引き続き進めながらも, 分析の過程で更に必要性が生じた情報及び史資料の収集も行い, 特に当時の東京市浅草区の小学校群が展開させた既存教科とは異なる新たな特設教科の開発実態に焦点を絞って, 研究の集約を行う事にした。当時の浅草で中心的な実践研究学校であった富士小学校と共に, 浅草小学校や小島小学校等々, 近隣の複数の小学校が既存教科とは別に特設の社会系教科を開発して設置していた動向が明らかとなった。その中でも, これまでほとんど研究が着手されてこなかった浅草小学校に着目し, 同校の特設社会系教科カリキュラムの実態解明と分析を実施した。その結果, 浅草小学校で開発された特設教科の「生活科」には, 当時の既存教科と並行的でありながらも対峙しうるような教科カリキュラムの特質を明らかにすることができ, その成果を全国社会科教育学会の全国研究大会で公にした。 学会発表では一定の評価を得ることができたことから, 本研究の最終的な成果の整理を行い, 平成21年3月末には, 全国的な学会誌に論文の投稿を行った。
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